2026.10.16
第15回
「ジャネット・クリステンセン《Holding Balance》」(後編)
岡添 瑠子(早稲田大学 非常勤講師)

Jeannette Christensen, Holding Balance, c-print, 2014, 81×53cm
画像出典:https://www.jeannettechristensen.no/holding-balance/
ジャネット・クリステンセンの《Holding Balance》を見てみよう。この作品では、女性は真っ黒な背景の前に立ち、左側から白い光が差している。作品のサイズは等身大ほどに引き伸ばされており、展示室で目にしたなら、作品の中の世界と「対面」しているような感覚になるだろう。2014年の個展で発表された際はインスタレーションの一要素として展示され、向かい側の壁に、パレスチナのヨルダン川西岸地区の都市ラマッラー街頭で撮影したDirkjan van der Lindeと共同の映像作品が上映された。「天秤」は、世界の均衡や安定が保たれないのは一体なぜなのか、静かに問いかけている。審判を下す者として、フェルメールが女性を描いた意味をこの作品はより深化させたのである。
