2026.08.07
第10回
カトリン・リンケルスドルフ:枯れたチューリップと<はかなさ> (前編)
結城 円 (九州大学 芸術工学研究院 准教授)

香川檀、ヴィクトリア・フォン・フレミング、結城円(編)『甦るヴァニタス:<はかなさ>と向き合う現代美術』(岩波書店 2026年)、書影
『甦るヴァニタス:<はかなさ>と向き合う現代美術』(岩波書店 2026年)の表紙には、色素を抽出したチューリップの切り花の写真が使われている。この作品は、ドイツ人写真家カトリン・リンケルスドルフの≪Fairies VII/ 1≫(2023)である。彼女の作品は、本書の起点である近世ヨーロッパの花の静物画から影響を受けていると同時に、本書のテーマの一つでもある日本的な<はかなさ>を主題として扱っている。まさに、日独のはかなさの表象の交差点とも言える作品である。
